曽師保育所

2011年05月23日（月）11:55
どろんこ遊び

　四月になってポカポカと陽気な日が続き、上着を脱いでも汗ばむ頃があります。そんな時、子どもたちは自らどろんこ遊びに興じます。また夏には、それこそ思い切り身体を使ってどろんこのお風呂も登場します。やがて肌寒い秋が来て、それから急に冷えこむ冬を迎えたかと思うと、暖かい春のような日が訪れます。小春日和といいます。その時又、どろんこ遊びが展開されます。そうして本格的な冬になれば、泥でこねた土のおだんごが園庭にはいっぱい並べられます。
　子どもたちにとってどろんことはーそうです、「自然まるごと」が人生の教師なのです。
　英国のある新聞社が「この世で一番幸せな人は誰か」という懸賞を募集しました。賞を獲得した回答には、一番は「砂のお城を築いている幼児」。因にあとの三つの回答は、
　・大手術に成功した外科医
　・作品の完成を前に口笛を吹く工芸家
　・一日の家事を終えて赤ん坊をふろに入れる主婦
　だそうです。
　おむつを脱いで素っ裸になった幼児は、浜辺で砂や泥と遊びます。日が落ち
始め、風が冷たくなっても親が止めても、砂や泥遊びに夢中です。
　大人になってもどろんこの山道を歩くのが好きというのは、ノーベル化学賞に輝く福井謙一博士。
　自然にどっぷりつかり、自然まるごとの認識が創造力を養うのではないでしょうか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　猪俣美智子記

　　　　　　　註　文集『たんぽぽ』／曽師保育所発行／1988（昭和63年）.3より

　
　　　子どものことば　平成２３年４月２０日
　
　子どもたちと大人を介してのコミュニケーションの１つに、言葉があります。まだ未熟な1才児の子どもたちとの間では、お互いに意思が充分に伝わりません。大人と子どもとのとり違いが生じたり、あるいはそれによって、面白い場面もあります。
　そのいくつかを紹介します。

４月　まだ慣れない１階のトイレの便器に座らせようとしました。
保育士　「シーして、シーよ（とオシッコを促す）」
子ども　「シー（と唇に１本指を立てていた＝静かにの意）」

５月　室内で、保育士が忘れ物をした事に気付きました。
保育士　「しまった！忘れてた」
子ども　　室内のドアを指差し、「閉まったよ」と言う。

　トイレに背中側から抱っこして連れて行きました。便器に座らせて、オシッコを促そうと思い、股を広げて座るように声を掛けました。
保育士　「Sちゃん、（股を）パーして」
Sちゃん「パー」と言って足ではなく、両手を広げていた。

６月　戸外遊び中、上空を通過した飛行機を見て、
保育士　「あの飛行機のしっぽは青だから、ANAだね」
Nちゃん「Nのしっぽ、お尻のしっぽ」と自分のお尻を指差して見せる。

１０月　朝、NHKのテレビ番組「ピタゴラスイッチ　ミニ」を見ていた際、タイトルコールを聞いたSちゃんの反応。
NHK　　「ピタゴラスイッチ　ミニ」
Sちゃん　「ミミ」と自分の両耳を引っ張る。

11月　遠足で動物園に向かうバスの中での話しを聞いていたNちゃん。
園長　　「沢山のお花が咲いているので…」とマイクを使って話をしていると、
Nちゃん　自分の鼻をつまみながら、「はな、はな」と言う。

　給食の際、山菜ごはんが出ました。
保育士「今日は、山菜ごはんだよー」
Yちゃん「三歳じゃない、二歳だよー」と三本指を立てて教える。

　保育士同志が話しているのを聞いて
保育士　「～がダブルといけないよね」
Rちゃん「ん？仮面ライダーダブル？」

１月　「あたま、かた、ひざ、ぽん」の手遊びをした所、
保育士「頭、肩、ひざ、ぽん」の最後の「ぽん」で手をたたくと、
子ども「ぽん」と言いながらお腹をたたく　

　大人と子どもたちの会話の中に、子どもの知っている単語が出てくるとしっかりと拾って反応している事が分かります。自分の知っている言葉の引き出しをフルに活用しているようにも思えました。
言葉の発達の途中において、子どもの言葉のとり違いなどを下手に訂正しないようにしております。自ら学びながら、語彙（ごい）が豊富になってほしいと思います。

注（Ｓちゃん１歳６ヵ月、Ｎちゃん１歳１１カ月、Ｓちゃん２歳、
　　Ｎちゃん２歳４カ月、Ｙちゃん２歳６ヵ月、Ｒちゃん２歳６ヵ月）　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１歳児担当　日髙由香子　記

　東北関東大震災におきましては、多くの方がお亡くなりになり、今なお避難生活をしていられる方々に、心からお悔やみとお見舞いの言葉を申し上げます。
　それに加え原子力発電事故に伴う放射性物質の被害が、最小限にとどまりますように祈るばかりです。

　

　　　やさしさと勇気を　平成２３年３月２３日
　　
　今年も青組のみんなの卒園の時期になりました。曽師保育所ですごした長いようで短い三年間に、みんなの身体もこころも大きく成長しました。思えば園庭で蝉のぬけがらや、だんご虫をいっぱい集めていたＡちゃん。朝早く登園して、お昼の給食時コックリ、コックリしていたＢちゃん…。この子どもたちはどういう大人になっていくのだろうかと、わくわくした気持ちで想像します。　
　「大きくなったらなにになりた？」とたずねると、「ウルトラマンになる！」「プリキュア！」など、思い思いに答えがかえってきます。ドラえもん、ゴセイブラック、アンパンマン、ケンシロウ等々、子ども向けのテレビ番組の主人公の名前が次々とあがります。そのどれもが、やさしさと勇気をそなえたヒーロー、ヒロインです。子どもたちが憧れているのはそういう人物像なのです。
　今のこの気持ちを大切に育みつつ、青組の子どもたちの誰もがすてきな大人に育っていく姿を思い描いています。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　主任保育士　川畑かおり
注　曽師保育所記念文集「たんぽぽ個人編」2011.3
　　青組とは、２歳児クラス