猛暑日が続いている7月29日、宮崎港国際埠頭に海上自衛隊の練習艦「せとゆき」が入港した。29日と30日は一般公開ということで、「暑いだろう、見物客が多いだろう、駐車場は?」と行くのをためらっていたが、その時は引き返そうと覚悟をして、30日の朝、30分前には現地に着く。家族連れの人がボチボチで、そう多くはない。9時に乗船ということで参加する。洋上を吹き渡る風が涼しく、船員からの丁寧な説明を聞く。
なかで、興味のあったものに、シースパローミサイルRIM-7M(短距離艦隊誘導弾)、用途:敵航空機、ミサイル迎撃用 で、1基に4発×2のうち、一発が覆いを外して公開されていた。鯨の図柄が可愛く、親はバックにして子どもたちの写真を撮っている。ミサイルというものを初めて目の前にした私は、「本物のミサイルって、こんなに可愛いのですか?」と尋ねると、「今日のためですよ」と笑って船員さんは答えてくれた。こんなに可愛い絵文様のミサイルが相手に次々打ち込まれる?そんな筈はないと、イメージしながら…。
「7月28日、北朝鮮は午後11時42分ころ、舞坪里(ムビョンニ)付近から、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を北東方向に発射した。日本の奥尻島の北西約150キロメートルの排他的経済水域内の日本海に落下したとみられる。発射方向と自転をを加味すると、ロスアンゼルス、デンパー、シカゴは射程内にとらえられており…」と、テレビ、新聞等で懸念のニュースが報じられている。このことが、ちらっと私の頭をかすめ、この目の前のミサイルの最大射程はどのくらいだろうと、表示版を見る。何と 「速度:な・い・し・ょ❤ 最大射程:ひ・み・つ★」と。「これも今日のためにこのように書いてあるのですか?」と尋ねると「一般的にこんなに書きます」と、期待はずれと含蓄のある回答。「そうですか。面白いですね」と船員さんにお礼を言って別れた。ミサイルが実際に役に立たないことを祈りながら。
猪俣美智子