夕方6時くらい前になると、お仕事を終えて子どもたちのお迎えの時間がラッシュになる。当所の門を出たところの道沿いに大きな樹木があり、茂みの中の幹の分かれ目に涼を求めて猫がいる。
「あっネコ、ネコ」、「ネコちゃん」といち早く見つけて大騒ぎ。「ネコちゃーん」と呼びかけたり、保護者はスマホで写真を撮ったり。ネコは下を見下ろして、キョロキョロ。微笑ましい光景です。
当所の掲示板には、当月の給食メニューと子どもたちの園内でのスナップ写真が貼ってあるのを、帰り際見ていられるようです。誕生会の中に自分の姿を見つけ出し、「ハッピーバースデー、ハッピーバースデー」と歌う1歳児の子。
給食メニューの中に真っ赤なスイカを見つけて「スイカ」と。「みんなスイカは喜んで食べますよ」と口添えをし、「お家でまた買ってもらったら?」と言うと、「スイカは高いからね」と母親。昨今の物価高に市民は喘いでいる。
お迎えが来ると、リュックを背負って、靴を履き、門を出る途中に小さな枯葉が落ちている。しゃがみ込んでじっと見入り、動かない。「何かな?」、「葉っぱかな?」。「帰ろう」「いや」「じゃ葉っぱにバイバイしよう」「バイバイ」。歩き始めるや石ころに気を取られ、またしゃがみ込む。「石さんバイバイ」。門を出る瞬間、「いや」。「じゃ、保育所さんバイバイ。また明日ね」。そして自分の車目指して一目散。
出勤前の親御さんたちは忙しい。さっと子どもさんを預けてバイバイ。
お迎えのひとときを、ゆっくり子どもさんの心に寄り添って、好奇心を満たしてやる姿が見られました。
写真/文 猪俣美智子