私は音楽教室のピアノの先生です。丑年生まれです。牛は牛でも例えれば、スペインの闘牛です。
教室の事務方、川上(仮名、男性)さんも同じ丑年です。例えれば、ホルスタイン種の乳牛です。男性ですが面倒見が良く、皆から好かれます。
それからもう一人は、生徒のお母さん安藤さん(仮名)。例えればヒンドゥー教の聖牛。
物静かなお人柄です。
某年某月某日、三人が偶然一緒に会するチャンスがありました。
私と、川上さんとは顔見知りですが、川上さんと安藤さんとは初めてです。紹介をして、話に花が咲き、幼馴染であったことが分かり驚きです。
安藤さんの話によると、当地の神宮大祭に「お稚児さん」として稚児行列に参加する朝、綺麗な化粧をし、美しくあでやかな衣装を着た姿を、見せに来られたその時、「この人のお嫁さんになりたい」と、思ったそうです。「実現していたら、この有様ですよ」と、年齢的に早く薄くなっているお頭をなでて、大笑いでした。「ぼくもあなたに好意を持っておりました」と。
私がかねてから闘牛、乳牛、聖牛に例えていた理由をざっくばらんに打ち明けるとまた大笑いになりました。
今では、私も川上さんも安藤さんもそれぞれに離れて会えないですが、今年丑年に巡り合わせ懐古に浸っております。
写真説明: 私は年に一回、ドイツの音楽祭に出演していました。スペインには行く機会はなかったのですが、フランスのモンサンミッシェルに行った時、ギフト専門店の広場にカラフルな牛たちが、のどかに安置されてありました。
その一頭です。
2021.1.31記す