昨年の12月に、保護者参観のもとクリスマス会をしました。職員のハンドベルで「聖しこの夜」を演奏し、子どもたちの出し物をして、最後にサンタのお姉さんが登場しました。途中、以前当保育所に子どもさんを預けていられた戸高とし子様とご縁があって、絵本の読み聞かせをしていただきました。「おおきくなったらなにになる?」と大型絵本「そらまめくんのぼくのいちにち」。会場はしーんとしてその口調に魅せられていました。
後日、彼女より「子どもさんたちに読み聞かせをしながら、自分の小さいときのことが蘇ってきました」といって、下記のような散文詩を寄せてくださいました。ご紹介いたします。
「ともうしかっちん こめんだご」
戸高とし子
私がちぃちぃちぃさぃ頃のこと
茅葺き屋根の大きなお家
曾祖父がいて 祖父母がいて 父母がいて 叔父・叔母がいた
四角いいろりがあって 鉄びんにいつもお湯が湧いていた
まだ若い母が 朝も昼も夜もかまどでフーフー飯を炊く
母はいつ起きて いつ寝るのか私は知らなかった
三つ下の妹が生まれた
夜になると 私はいつも爺ちゃんの蒲団に潜り込んで寝た
夏は緑色の蚊帳の吊られた中 冬は黒っぽくて重たい綿蒲団に包まって
私はせがむ「お話しして?」
一年三百六十五日 毎日変わらず同じお話
爺ちゃん作の昔話
それなのにちっとも飽きない 頭の中は毎日新鮮 心はわくわく
「ともうしかっちん こめんだご」で いつもエンド
おまじないのような言葉に
朝までぐっすり夢の中に舞い込む
つい最近のこと 初めて聞かれたことがある
「あなたの他人(ひと)への信頼はどこからくるの?」
そんなこと考えたこともなかった
ふと 随分前に亡くなった爺ちゃんのことを思い出す
あぁ あれは本物の「無償の愛」だったなぁ
私がほんとにちぃちぃちぃさい頃のこと
(文責 猪俣美智子)