トレーに2個のお茶碗とフキン。1個には水が入っています。お椀からお椀へ、何回も水を移して遊びます。こぼれたらフキンで拭きます。るりちゃん(1歳8ヶ月)は、その作業に熱中すること30分あまり。他には見向きもせず飽きるまでしていました。移すごとに微妙な水の変化を楽しんでいる様子。先生が手本を示した通りに、こぼれたらフキンで丁寧に拭いていました。他のお友だちも楽しんでいました。
春まだ浅い頃、子どもたちは陽気に誘われて園庭での遊びを楽しみます。思い思いの所で、それぞれのことをして楽しみます。
そのような中、砂場に座り込んで黙々と一人だけままごと道具で砂を入れたり出したりして飽きなく遊んでいる幸之助ちゃん(2歳4ヶ月)がいました。
部屋に入る時間になってもお構いなし。1時間近くは「くり返し遊び」に熱中していました。この様子を母親に伝えると「それって、いいことですかね」と。「とってもいいことですよ。同じことを飽かずに何回も何回もくり返して遊ぶのは大切なことですよ」と、私は答えました。
つまり、「見る、触る、聞く、たたく、匂いを嗅ぐ」などの五感を総動員して物事を感じ取り、学んでいくのです。同じ絵本、同じ歌、同じ言葉、つんだ積み木をつんでは壊し、また積む等、何回もくり返します。マスターするまで続きます。くり返しは子どもの仕事です。
写真&文 猪俣美智子