先輩保育士から「読んでみる?」と声をかけられた本のタイトル『もし、赤ちゃんが日記を書いたら』に興味を持ったが、いざ読み始めると、正直難しい内容だと思ったけれど、ページをめくっていくと、赤ちゃんはそう感じているのか、とか、そうなのだ、と新たな発見があったりして、何となく理解しながら読んでいる自分がいた。
赤ちゃんが見せる笑みの交換という単純な行為は、社会的相互作用の基礎づくりのひとつで(母が笑う→ボクが笑う→母が笑う…)二人は、お互いの笑みを活性化しあい、「笑いのデュエット」を長持ちさせるようだ。
生後2〜3ヶ月を過ぎる頃には、人間の顔は赤ちゃんにとって特別の力をもつものになるということに興味を持った。顔は、赤ちゃんから社会的な笑みや、おしゃべり(喃語)を引き出す金のような役割をはたすという。声によるやりとりよりも視線のやりとりの方が社会的相互作用を生み出す。例えばとして「いないいないばぁ」をあげてあり、赤ちゃんの顔に、はじけるような喜びが広がるのはあなたの目が見えた時とのこと。私は表情に喜びを感じていたと思っていたので少し驚いてしまった。又、他の子の泣き声が聞こえた時、泣き出すのは赤ちゃん自身が不安になって泣き出すと思っていたことに、情緒的な影響力に敏感に反応する能力があると書いてあり納得できた。
人の会話の輪の中で膝に抱いていた赤ちゃんが、突然人の笑い声でそちらを向いて体が固まる経験をした時、単に笑い声に驚いたのだと思っていたが、そうではなく、赤ちゃんにとって会話は音楽のメロディであり、女の人のかん高い笑い声は音楽を乱す大きな原因に思えると述べてあり、抱きよせることで肉体的な接触の強まりによって安心感を与えられ気持ちは楽になり、再び音楽を追い始めるということだった。
2歳になると、好奇心と探究心の旺盛で、親の視線を確認しながら少しずつ行動範囲を広げていく子ども、転んであまり痛くない時、泣くべきか笑うべきか、親の表情を読みとろうとする。その時の親の態度が大切だと感じた。(仕事上でも、よくある姿だと思った)。愛着の持つ究極の魔力は「接触」という事に改めて納得し、抱きしめ=抱擁、に繋がるのではと同感した。
この本に出会い、赤ちゃんに色々な世界が広がって行く過程を知ることができた。そして生後6週間の赤ちゃんがおひさまの光を感じる感覚の世界、1年たつと心象風景の世界、それから言葉の世界、そして物語の世界へと広がって行くことを知り、これからも子どもたちからいろいろな刺激を受けながら、毎日が勉強だと改めて思った。
0歳児担任 川畑美枝子
註:ダニエル・スターン著『もし、赤ちゃんが日記を書いたら』
亀井よし子訳 草思社 1993年