絵 巧観ちゃん(3才0ヶ月)雷とおへそ
9月のある日、お昼の給食をしていた2歳児クラス(10名)の子どもたち。外が急に暗くなり激しい雷雨に見舞われた。「ピカッ、ゴロゴロ」。室内には閃光が走る。雨音も激しい。
「こわい」と言って先生にすり寄る子。両耳を手で押さえる子。びっくりして緊張している子。また「雷がうるさい」と言う子。かなり長い時間続いた。
そのような中、わたしは「おへそをとられるよ、雷がなったら…」「雷はおへそが好きだって」と、口にした。その言葉に何人かが反応して、おへそを押さえていた。
その午後、おやつが済んで子どもたちはお絵描きをはじめた。腕いっぱいにひろがる大きな「ざらし」を使って、自由に何枚もとりだして描いている。
担任の先生が「何、描いているの」と聞けば、大方の子が「かみなり、ごろごろ」と言っている。雷を絵にすればどのような形になるかは、わたしも知らないが、そう、言っていたとのこと。
3歳0ヶ月の巧観ちゃん、背を丸め左手で「おへそ」をおさえ、右手でぐるぐる円を描き、円のなかに「おへそ」らしきものを描いている。本人も「おへそ」と言う。後で報告を受けてその絵を見させてもらった。
考えるに、なぜ、雷がなったら「おへそ」をとられるのか。小さい頃からよく言われていたので、そのまま、わたしの口をついて出てしまったでは終わらない気がしたので、少しネットで調べてみた。
雷は木の高いところによく落ちるから、雷が鳴っている時は身体を低くして移動、あるいは地面に伏せていれば大丈夫。ヘソを隠せば前かがみになるので、雷に打たれる確立が減るとか。昔の人の経験かららしい。
はたして雷はとった「おへそ」を、食べるのであろうか。
おれはおへそが
だいすきだ
あまくて しょっぱっくて
こーり こり
うふふふ たべたいなー
出典:赤羽末吉著の絵本『へそとりごろべえ』より
猪俣美智子記