1988年01月20日(水) 「ある保母の手記」に特別賞 国際アマチュア映画祭
フィンランドでこのほどあった87年国際アマチュア映画祭で、宮崎市の一の宮町、無職河野元満さん(64)の8ミリ映画「ある保母の手記」が特別賞に選ばれた。日本国際映画協会を通じて出品した作品で、保母さんの悩みや喜び、子どもたちとの交流などをドキュメンタリー風に描いている。 河野さんは、近くの私立曽師保育所(猪俣美智子所長)で、保母さんと園児たちとの生き生きとした生活に感動。撮影を申し込み、猪俣さんも快く応じた。昨年5月から約6ヶ月間、毎日のように保育所に通ってフィルムをまわし、それを約25分の作品にまとめた。 主人公は同保育所の主任保母吉田直子さん(26)。自ら泥だらけになって園児たちと遊んでいる姿や、結婚か仕事かで迷っている内面を大淀川にたたずむ様子で表現した。「悩んだり失敗してもくじけない吉田さんの姿が印象的でした。こんな態度から本当に人を愛する気持ちが生まれてくるんでしょう」と河野さん。 河野さんは宮崎市生まれ。大阪の海運会社に勤めているうちに戦争になり、ラバウルやニューギニアなど戦地に行った。爆弾や魚雷を受け、2回死にかけたことがあるという。引き揚げ後はタクシー会社に勤め、57年に定年退職した。 8ミリ暦は17年。県アマチュア映画協会の会員で、同協会主催のコンテストでグランプリ賞2回、銅賞1回を受賞している。これまで牛の誕生や猟師の生きざま、嫁いでいく娘の姿などドキュメンタリー作品を撮り続けてきた。 (朝日新聞)
写真:受賞を喜ぶ河野さん(左)と主人公の吉田さん=宮崎市の曽師保育所で
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