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2019年06月04日(火)15時13分

雀は特別ゲスト〜ラッフルズホテルのアフタヌーンティー〜

 ここシンガポールは、ラッフルズホテル。1887年創業のアジアを代表する老舗ホテル。白亜のネオ・ルネッサンス様式の建築は国の歴史的建造物に指定されている。車の乗り入れをするところは、玉砂利が一面に敷き詰められてあった。
 旅行者の私は兄と、1日だけの贅沢な投宿。そしてここの「ティフィンルーム」でアフタヌーンティーを楽しむ。「ドレスコード」(服装指定)があり、正装とまではいかなくとも、「スマート・カジュアル」で、とある。袖無しのアンダーシャツ、短パン、半ズボン、サンダルやスリッパ、プールで着るような装いは不可。宿泊客は優先されるので、3時半に席に着く。レストラン前には何と宿泊以外の客で長蛇の列が出来ていた。
 ウエイターがすぐに3段トレイを持って来てくれた。上段にはタルト、中段にはスイーツ、下段はサンドイッチ。次に「Tea or Coffee?」と聞かれ、紅茶を注文する。燻されたような銀のポットから、紅茶が注がれる。下段のサンドイッチから食べるのが作法とのこと。おしぼりは備えられてない。皆手づかみで食べている。他にスイーツコーナー、ブレッドコーナーもある。
 ティフィンルームはコロニアル調の内装が美しく、目を見張る調度品。ハープの生演奏を聞きながら優雅で贅沢な時間が流れる。高くて広い天井に目をやり、リラックスしていると、なにやら、2羽の鳥が飛び交っている。雀のようだ。どこから紛れて侵入したのだろう、と目で追いかける。柱のかげに隠れたり、低空飛行して、テーブルに下りたり、そうかと思うとどこかへ消えてしまう。
 すると、おとなりのテーブルに現れて、「あら、パンを突いている。お客用のを」と兄と顔を見合わせる。そのような様子を日本人の私には気になりながらもくつろぐ。気付いているのは私たちだけ?他に日本人の客はその日は見当たらない。雀も客の一員であるかのように溶け込んでいる。雀はかわいい。常に身近に住んでいる。あらら又、おとなりのテーブルのチーズを突いている。しばらくして、客が席に着く。「そのチーズを鳥が今突いていましたよ」とは教えにくい雰囲気。客は普通にチーズをパンに塗って食べる。
 何か落ちつかない私たちは、兄が鳥の様子を衛生的に良くないのでは、とウエイターに教えると、「雀は特別ゲスト」と両手をひろげ、首をすくめて笑った。 なるほど、と一応納得するが、鳥の動きを目で追って楽しんでいる別の私たちがいた。
 しかし、もし日本の有名なホテルの出来事だったら?と考えた。
 亜熱帯植物林のシンガポールはオゾンがいっぱいで空気がおいしかった。
 
                           2013年2月   猪俣美智子

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