社会福祉法人 アイリス康友会 曽師保育所 令和4年3月1日完成 建築家 歌一洋 元近畿大学教授

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2017年06月10日(土)16時43分

ニホンタンポポ

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       小樽運河の舗道に輝くセイヨウタンポポ


 春まだ遠い冬の日差しを受けて、いち早く咲く花にオウバイ(黄梅)というのがある。小さく黄色い花は香りが良く、祖母の庭に佇んだことでした。中国では「迎春花」という名がつけられていて、春一番にふさわしい花です。次にはすみれ、水仙、梅の花、菜の花、さくら…と、冬から春へ季節を追って咲いていく花の姿に、ここ宮崎にいて、毎年実感している。
 ところが、今年の大型連休を札幌に投宿し、中島公園を歩いて目に移ったものは、すみれ、チューリップ、タンポポ、ラッパ水仙、芍薬の花たち。垂れる枝一杯に白い花を咲かせる雪柳、鮮黄色のレンギョウ、桃の花、すももの花木たち。ここに至って花見ならではの、ソメイヨシノと蝦夷山櫻、また、白木蓮、紅木蓮が見事に咲いていた。たまったものではない。一挙に咲いているのだから。新緑のしだれ柳は幹が太く、櫻の木より堂々としており、白樺はその幹の白さゆえに、新緑の葉が映えて美しく風にそよいでいた。一挙に吹き出した春!
 札幌は、今年は4月30日を機に春が訪れたとのこと。
 北海道神社の境内では、梅まつりと、櫻の花見が隣り合わせで賑わっていた。
 夕方、大倉山展望台に向かうリフトの下には、つくしがツンツン、傍らの斜面は硬い雪に覆われていた。見下ろした札幌の街には灯が点り始めていた。夜、ライトアップされた赤れんが庁舎に行くと、白いさくらんぼの花が満開。
 さて、ここで私は何を言おうとしているのか。札幌散策のなかで、タクシーから降りた瞬間私が「あっ、ここにもタンポポが!」と舗道の脇にみつけると、運転手さんが降りてきて、手で折ると「在来種のタンポポですね、花の下の萼が上を向いているでしょう」、そして茎を折って見せ「この白い乳液は辛くないですよ」と、だからと言って舐めるわけにはいかず、折られたタンポポを受け取ると礼を言って別れた。タンポポには在来種と外来種(セイヨウタンポポ)があり、実際手にとってその見分け方を学ぶと同時に、ニホンタンポポは数少なくなってきているのだろうか、と思った。
 札幌から電車で30分、小樽運河へ行った。浅草橋のほとりには金色に輝いたタンポポたちが、春を謳歌していた。在来種ではなくセイヨウタンポポだった。
 運河には風に運ばれてきたさくらの花びらが気持ちよさそうに浮き、街並みの向こうには残雪の山並みがまぶしかった。
                                      猪俣美智子記

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