3歳になった頃、自分からお友だちのお世話をするやさしい姿がみられるようになった絵梨加ちゃん。
・お友だちが泣いていると傍に行って保育士の所まで連れてくる。
・お昼寝の時に、お友だちの体を撫でて「おやすみ」と言って睡眠を促している。
・絵本を開いて、保育士がするように見せながらお話ししている。
・赤ちゃんのぬいぐるみを持って当所する日が続いたある日、「寒いから」とぬいぐるみに薄手の毛布に包んで来る。
11月2日、近くの畑に子どもたちは芋掘りにでかけました。そこで始めて経験する亜莉ちゃん(1歳10ヶ月)が、どうしていいか分からずに呆然と立っているのに気付き、絵梨加ちゃんが近づきお世話をしていました。「ここよ。お芋とって」「はい、持って」と手に握らせ、手に付いた土が気になれば、払ってやり、芋の置き場所まで、手をつなぎ亜莉ちゃんの歩調にあわせて、ゆっくりと幾度も往復していました。亜莉ちゃんも満足気に従っていました。春日和のもと微笑ましい光景。その日母親に「絵梨加ね、亜莉ちゃんにやさしくした」と、報告していました。
・お友だちが滑り台に登り始めると、ぴったり寄り添って付いていく。滑り始めると体を支えて「気をつけてね」と言っている。
・保育士から「◯◯ちゃんお着替えしてね」の言葉を聞くと、傍に行き「しようか?」「はい、立って、手を出して」と手伝っている。
あたかも小さな先生を見るかのような光景です。小さい子や困っている子に対するやさしさが多く見られる反面、他の子が自分でやりたいことに対して、先回りして手伝うと嫌がられる場面もあります。
このころの年齢では、お友だちへのお世話は大人の模倣と自分本位のやさしさであって、本当のやさしさではないと言われますが、9歳くらいには本当のやさしさへと成長するようです。
写真&文:猪俣美智子
観察資料提供:保育士 川畑かおり