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シロバナタンポポ(聾学校の庭園)$
シロバナタンポポ(履いている靴と比べて)
どうぞ お入りください と
聾学校の大きな門が開いている
わたしはつられるままに入る
和らぎはじめた夏の日ざしをつれて
広いみどりの芝生に置かれたテーブルとイス
そこで憩う人 本を読む人
手話でおしゃべりを楽しむ学生
やさしい色とりどりのバラの花
芝生一面に散りばめたように咲く
白いたんぽぽの花
はじめて出会った「シロバナタンポポ」が
遠く旅に来たわたしに
ゆっくりしてください と微笑む
音のない一枚の絵のなか
2016.8 写真&文 猪俣美智子