季節外れのタンポポ(その1)
季外(ときそ)れて咲くタンポポの小ささよそれでいいのよそれでいいのよ
歌人 鳥海照子
今年の夏は特に暑かった。9月も終わり、明日から10月。少し暑さもやわらいできたようだ。気持ちに余裕ができたのか、我が家の垣根の下に黄色い花をみつけ、よく見ると何とタンポポではないか。丈24センチ、花の大きさは頭花1センチに満たない、ひょろひょろと伸びている。これだけではない。狭い庭の雑草に紛れていくつもタンポポが咲いている。かなり小さいのもある。この季節に、と目を疑うが間違いない。綿毛もついている。春には誇らしげに咲くタンポポが、季節外れに小さくけなげなに咲いている命の輝きに、それでいいのよそれでいいのよ、と呼びかけた。
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2015.10.5 撮影 猪俣
季節外れのタンポポ(その2)
垣根の下のタンポポを見つけてから、およそ1ヶ月。朝夕もめっきり冷える今日この頃、我が家の道を隔ててブロック塀に沿って黄色い花が点々といくつも咲いている。これもタンポポ。とても小さく見えるので因みに物差しを当てて計ってみた。ご覧の通り丈10センチ。こちらも季節外れのタンポポ。一生懸命咲いている姿に力強さとたくましさを感じた。綿毛もある。私はこのように生きていけるだろうか。
猪俣美智子